13才の陽子さんは、以前は杉の季節だけ花粉症の症状が出ていましたが、今は春先の2月と梅雨時の6月、夏から秋に変わる9月~10月頃、の年に3回くらい鼻炎がひどくなる山があるそうです。
鼻炎がひどくなるとおでこ、目の周り、あごから首にかけてなどの顔周りと、指先や手首のアトピー性皮膚炎が悪化するので憂鬱です。
本人が小さい頃はあまり気にしている様子はなかったのだけれど、最近は悪化する季節が来ると不機嫌になり、それに付き合うのが憂鬱なのだとお母さんが話してくれました。
本人は料理を覚えたがっているけれど、食器を洗ったり野菜を触ったりした後は手の状態がものすごく悪くなるので、お母さんは水や野菜だけでなく塩分がありそうなものも触らせないようにしているのだそうです。
そういうことが続くと本人は母親から拒否されたと勘違いするのか、ふてくされて部屋にこもってしまうのがとても心配だとお母さんはぼやきます。
野菜を触るときは、ティッシュみたいに引き出して使えるビニール手袋を活用してみたらどうだろう。煮たり蒸したり炒めたりのときはバスの運転手さんが使うような綿の手袋をして菜箸を使えば、傷口が調理器具に触れることもないし、調理器具についた塩分などが傷を刺激することもないと思うけれど、どうでしょう。
そんなことを私たちがお伝えすると、お母さんは「そんなめんどくさいことあの子はやりませんよ」と言って、何となく見通しが立たないまま会話が終わってしまいました。
ところが数カ月たって久しぶりにお母さんから連絡があり、「これを使ってみる?」と用意していた手袋などを見せると、とりあえずはやってみようとしてくれて、最初は「すぐ破ける」とか「滑ってやりづらい」と文句を言っていたのに自分で工夫するようになって綿の手袋の上にビニール手袋をしたり、ビニールの上に綿の手袋をしたりとその時その時の必要な形をあみだしたのだとか。
「本当にお台所で何か一緒にやりたかったんですね」とお母さんは嬉しそうに話してくれました。
陽子さんは「症状があるせいでできないことがある」そのことが不機嫌の理由だったのかもしれませんね。