「中学生になってから、小遣いの金額が上がったせいか娘が化粧品を買うようになりました。
肘から指先にかけてと、目の周りやおでこ、首からうなじあたりにアトピー性皮膚炎があります。季節によってよくなったり悪くなったりしていて、蒸し暑くなるこれからの時期は悪くなることが多いです。
眼のふちに塗るラメやリップ、カラフルなマニキュアなど、『どこにつけていくの?』と言いたくなるようなものを沢山買い込んでいるようです。
先日、顔や指先の皮膚症状がとてもひどい状態になっているので、『何をしたらこんな風にひどくなるの?』と問い詰めると、プリクラを撮るために買ったものを色々使ったらこうなったというのです。
梅雨から夏にかけては特に注意して保湿剤を塗ったり、日焼けしないように帽子を買ってやったり、いろいろ気を使っているのに、本人が悪くしているなら親は何のために毎日ハラハラしているのかわからなくなった。
腹が立って気持ちが落ち着きません。」
買ったものを取り上げるようなことはしなかったものの、「自分で肌の状態を悪くするなら、スキンケアはもう自分でやりなさい。」と言ってしまったとお母さんは話していました。
スキンケアを自分でやること自体は悪いことではないと思います。
ただ、いつもより悪くなってしまったときに、いつでも保護者に相談できるように『避難場所』を用意しておくことが必要です。
皮膚のケアは毎日の積み重ねが必要ですし、一直線にいい方向に進むとは限らないので、特に悪くならなかったとしても「毎日の積み重ね」に嫌気がさしたり気持ちが沈んだりすることもあるからです。
もちろん皮膚を診てくれる医師と患者との相性が良ければ、親は遠くから見ているだけでいいこともありますが、中学生になるとよっぽどのことがないと病院にいかなくなってしまう子どもはたくさんいます。
難しい年頃ですが応援団はまだまだ必要です。
できることなら、お母さん自身が中学生の頃のおしゃれしたくなった気持ちを思い出して、「あなたの気持ちはわからなくもない」というアピールをしてください。
「症状のある場所に塗るとひどくなるから症状のないところに使う。皮膚が落ち着く季節に使う。これが大事。」と化粧自体を非難せず、使う場所やタイミングについて知っておくべきことを伝えてください。
治療については、病院に行って、処方薬をどのタイミングでどう使うか、スキンケア用品をどう使うかなど、必要なことは医師と本人が話し合い、そのことを本人が親に解説する流れを作るのが理想です。
あらかじめ医師に協力してもらうように頼んでもよいと思います。
本人が親に解説することができたら、親は「毎日薬を塗っているか?」などと質問しないようひたすら我慢します。
1~2週間たってから「最近どう?」と聞けたら素晴らしいです。
万が一途中で悪化して娘さんが助けを求めてきたときは、どうしたらいいか一緒に考えて、娘さんの気持ちを支えてください。
一緒に病院に行ってもいいし、医師と話し合う場所に立ち会ってもいいと思います。
でも医師と話し合うのは娘さん本人です。
初めてのお化粧で失敗したことは、自立・自律のための大きなチャンスです。
娘さんと仲直りして、これからは「応援団」になれるように、あの手この手を工夫してください。